症状は早期発見が決め手
皆さんは、病院でレントゲンやCTスキャンの映像を見せてもらったことがあると思います。「この黒いところが何々で白い線になっているところが…」という説明を聞けば、フンフンとよくわかるものです。マンション建物もそんなふうに診る方法があれば劣化状況や危険個所がわかりやすくて良いと思うのですが、残念ながらそのような仕組みは現在のところありません。それならば何が頼りになるのかというと、それは症状の早期発見でしょう。
老化のきざしを見極める 
 からだも建物も生まれたばかりの状態に戻すことはできません。しかし、老化に対する対策を考えて、延命し健康を持続させるのは努力次第で可能なことなのです。マンション建物の場合、その努力を「誰がするのか」という点が問題です。皆さんがひとりひとり気がつくこともあるでしょうが、管理組合として共用部分の定期点検をする必要があります。コンクリートにひび割れはないか、水が浸入している箇所はないか、仕上げ材が剥がれている個所はないか、変色や褪色が早いところはないか…改修工事の計画はそういった点検から生まれます。
  事故を未然に防ぐためにも、改修工事の計画を進めてください。大切なのは老化の兆しを見極めることです。大事に至る前には必ず何らかの兆しがあるものです。
健康診断も健康だから大丈夫といっていては兆しを発見するのが遅くなります。管理組合としての健康診断を始めてみませんか。
症状を把握する
 ところで、体のことはお医者さんやレントゲン技師よりも、みなさん自身が一番よくわかっていると思います。どこが痛いとか、前よりどうだとか、この薬は自分に合っているかといったことですね。
 また、からだの老化のきざしをとらえるのも難しいことです。みんなそうなのか、自分だけがそうなのか、放っておいて大丈夫なのだろうか…とあれこれ思案します。
 一方、マンションの場合も、住みながら気がつくことがたくさんあると思います。しかし、それが具合の悪いことなのか、緊急を要することなのか、自分の住宅だけに見られる症状なのかを判断するのは、なかなかむずかしいことです。でも症状の早期発見のためには、とにかく「こんな事実があるのだけれど…」という話を出してもらうことが一番です。
 
 

かかりつけのお医者さんがいれば安心です。 
 皆さんのマンションにドクターはいますか?
といっても医者のことではなく、マンション建物の現状を把握して、劣化しているところがないか、手当ての必要はないかといったことについて判断してくれる人のことです。ドクター役は、管理会社の人かもしれませんし、管理人かもしれません。住民の中の建築関係の方であったり、あるいは建築コンサルタントといった方かもしれません。
 ところで、医者と患者のコミュニケーションをはかるために『インフォームドコンセント』ということばが使われているのをおききになったことがありませんか?これは、診断結果や薬の作用や副作用について医者からしっかりとした説明があって、それを患者が判断し、同意あるいは拒否するというやりかたのことです。
 
 
まかせっきりというのも不安ではありませんか?   
 さて、マンションでは、マンションドクターの役割をする人がいらっしゃる場合、はたして、その人はしっかりとした説明を管理組合に対して行っていますか。また、その説明を管理組合はしっかりと聞く体制ができていますか。建物のことは何もわからないから…と専門家にまかせきりにしていないでしょうか。
 患者なら、自分の体のことについてのお医者さんの説明がどんなに専門的な言葉であっても内容を聞きたいと思うのは当然です。同じように、自分の所有しているマンション建物のことも「自分の身体の一部」と思って耳を傾けてみてください。自分のことを知るのに素人もプロもありません。
双方の理解が大切です。
 知りたい患者に対し、満足のいく回答を与えられないお医者さんでは困ります。双方が理解しあいたいものです。 マンション建物の診断と判断は、双方の努力があってはじめて前進します。診断する人と判断する人のコミュニケーションがあってこそマンションが維持できるのではないでしょうか。
 管理人でも管理会社でも建築士でも、とにかく診断する人が真剣に対応してくれるかどうかは、管理組合側がきちんと聞く耳をもっているかどうかにかかっていると思います。管理組合は組織です。なにも理事長がすべてを判断することはありません。役にあたった理事が手をたずさえて、専門家の話に耳を傾けてみてはどうでしょう。そうすれば、どんな工事が必要なのか、どうやって工事をしたら良いのかということについて、専門家の意見を参考にしながら前進することができると思います
 
 
 

Q1.建物はどうやって点検すれば良いのでしょうか?
Q2.大規模改修工事の時期はどうやってきめるのですか?
Q1 建物はどうやって点検すれば良いのでしょうか?

A1
 とにかくよく見て回ることです。当然といえば当然ですが、「目で見て確かめる」というのはとても大切です。とはいっても何かきっかけがいりますから、定期総会のあとに、新旧の理事全員でマンションを一周してみるというのはいかがですか。
 点検は探検のようなものです。皆さんで懐中電灯を持ち、少々汚れてもよい服装で回ります。普段なら気づかないことも発見できるかもしれません。同じマンションでも、住んでいる部屋の位置や階段が違うだけでいつもの風景も違って見えるでしょう。
 まず屋上へいきましょう。異常はありませんか。鳥の巣や、ゴミや砂はたまっていませんか。エレベーター機械室ものぞいてみましょう。天井からの漏水跡はありませんか。
そしてふだんはあまり使わない階段を下りましょう。防火扉が閉まる位置に自転車などがじゃまになっていませんか。廊下を歩いてみましょう。消火栓ボックスのふたはきちんと開閉できるか、天井に漏水跡はないか。溝に雨水が溜まっていないか、排水箇所にごみが溜まりっぱなしになっていないかサビだらけになっているところはないか、いろいろと点検してみてください。
 建物の外に出てみましょう。自転車置き場に異常はないか、遊具に危険はないか、足腰の弱い方が歩くと危険な箇所はありませんか。
 建物を下から見上げてみましょう。大きなひびわれがあったり塗料が剥離している箇所はないか、足元に落下物が散乱していないか、走ってきた子供が車にあたりそうな場所はありませんか。
 点検は、管理人や管理会社の担当者あるいは建築コンサルタントと一緒にまわる事をおすすめします。いろんな人の視点からみると様々なことが話題になると思います。新理事の皆さんも机上の引き継ぎでなく、現物をみて話題にすることによって管理組合の意義も理解しやすくなるのではないかと思います。

Q2 大規模改修工事の時期はどうやってきめるのですか?

A.2
 特に竣工後何年目にやらなければならないという決まりはありません。しかし、住宅金融公庫の定める『優良中古マンション規定』では、建築後20年以内に屋上と外壁の改修工事を実施しているということを融資の条件にしており、このサービスを利用するならば、遅くとも20年以内に工事を実施したいものです。そもそも建物ごとに、出来具合も異なりますし、劣化状況も異なります。環境条件によっては汚れの程度も異なるでしょう。危険な部分、すなわち落下しそうな箇所があったり、廊下やバルコニーからの漏水がある場合は、工事を急がなければなりません。
 一方、工事をするためにはお金が必要です。大規模改修工事をしようとすると1住戸あたり50万円〜90万円程度はかかります。もちろん、工事項目や戸数あるいは建物の形状によって異なりますが、それにしても大金が必要です。
 したがって、工事をどれだけ急ぎたいかという点と、いつまでにどれだけお金がたまるかという点のバランスを考えて工事時期を検討することになります。
 あるマンションでは、バランスを検討した上で、実施したい工事を1期工事と2期工事にわけて実施しました。またあるマンションでは、落下物があるという緊急性から一時金を徴収して工事をいそぎました。様々な要素を加味して検討する際には、管理会社や建築コンサルタントの話も参考にしたいものです。
 なお、2回目の大規模改修工事をひかえているマンションでは、他の工事の支出額もあわせて長期計画をたてることが必要でしょう。
 
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